ここ何ヶ月かThe Beatlesの"Across the univers"カヴァーのレコーディングに取り組んでいましたが、先日その作業もようやく終わりあとはトラックダウンとマスタリングを残すのみになりました。
そのエンジニアリングは師匠にお願いしているのですが、その作業を見学させてもらいました。
今回のエンジニアリングではもう一度やり直すことになりましたが、大変勉強になりました。
そのメモを備忘録的に書き残しておこうと思います。
最初はトラックダウンの作業からです。各トラックにEQやコンプレッサー、リバーブをかけて音を調節していきます。
まず、ストロークギターの音色からでした。
ナチュラルにかかるタイプのコンプレッサーをかけます。コンプレッサーは音のつぶをそろえるエフェクターです。このトラックにチョイスしたコンプの効きはそれほど強くありませんが、アコースティックな柔らかさがあまり失われません。アコースティックな質感を残したまま、ずいぶん聞きやすい音になりました。
それから、イコライザーをかけます。イコライザーは選択した音域をブーストしたりカットするエフェクターです。今回はローがいらないのでローカットをかけます。C#だけ音が大きかったのでその音域をピンポイントでカットします。125Hzくらいでしょうか。中音域がもやっとした音だったので少し削ります。ストロークの切れのいい音を強調するためにハイをブーストします。
それが終わると、リバーブをかけます。リバーブはその音に残響音を付加するものです。エコーとも呼ばれるものです。師匠によるとリバーブはエフェクターと言うより空間をシミュレートする道具だそうです。Logicのスペースデザイナーで残響音の長さなどを調節します。
リバーブにもEQをかけます。リバーブにはローは必要ないとのことでした。
ローにもリバーブが効いてるとぼやけた印象になるそうです。ローカットしてハイも少しカット。
それをセンドリタンーンします。
これでストロークギターパートは終わり(他のパートにあわせて微調節はしますが)、ギターのベース音のみ録音したトラックの調整をします。
コンプレッサーはストロークと同じ設定でした。このパートもC#の音が強かったのでEQでその音をカット。ローも少しブーストしました。リバーブはストロークの時に作った設定のものをセンドリターンです。
次は、メロディギターのトラックです。
このパートのコンプレッサーは効きの強いものを選択します。多少アコースティック感は薄れるもののメロディとして聞きやすくなり、より歌っているようになったと感じました。
EQはローカットして中音域を大胆にブースト、ハイは少し削りました。パッシブのハムバッカーのような音になりました。私のギターLakewoodはEMG-ACSとの組み合わせでとてもハイファイな音なのですが、まるでGibson175みたいな音です。いやー、EQは面白くておくが深いですねぇ。
シェーカーのトラック調節に移ります。
アナライザーで見ると元々見事に高音域しかないのがわかります。マイクが空気の圧を拾っているローもありましたが、その音は必要ないのでカットしました。聞こえ過ぎもあまり良い感じにならないのでハイも少しカットです。
すべてのトラックを同時に聞きながらMixの調整とリバーブの微調整をやってトラックダウンは終了です。
CD音質に落としてバウンスしたデータを師匠のmacbookに移してマスタリングの作業に入ります。
音の良い音源をリファレンスしながらリミッティングやEQをかけていきます。今回のリファレンス音源はPat Methenyの"Facing West"でした。いい音ですよね。
リミットをかけて音圧を稼ぎます。"Facing West"は私の音源よりかなり大編成です。同じような音圧はどうしても稼げないのでそこは考慮に入れて進めます。
最後にEQをかけます。すでにいい音ですがここでさらに磨きがかかります。
出来た音源をマスタリングルーム以外の場所で聞いてみます。今回は車の中で聞いてみました。
スタジオで聞いていただけでは気づかない部分はあり、とても大事な作業だそうです。
その結果もう少し音源の音は良くなりそうだということでした。このまま出せるクオリティではありましたが、リリースして大勢の方に聞いてもらいたい音源です。
せっかくなので出来ることは納得できるまでやりたいということになりました。TD&マスタリングは最初からやり直しになりました。
この日はもうすでに深夜で疲れきっていてまともな判断が出来そうにありませんでしたので日を改めて再度チャレンジです。とてもいい勉強にもなりましたのでよかったです。
この日にリリースの手続きが出来なかったのは残念ですが、これでさらに良い音源にしてリリースできそうです。後もう一息です!
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